TEPIA 先端技術館
- HOME
- TEPIA 先端技術館
- TEPIAチャレンジ助成事業
- 経過・結果レポート一覧
- ロボットグランプリ2017レポート②
経過・結果レポート
ロボットグランプリ2017レポート②
2017.12.21
レポート①に続き、「TEPIAロボットグランプリ2017」の開催レポートです。
【午後の部】
⑦大分県立日田高等学校 科学部
「昆虫のまどくん」
汚れが気になるが掃除をするには危険が伴う、校舎の窓の「外側」も掃除できる窓拭きロボットの開発に挑戦。
窓を挟む2つの機体を磁力で吸着させることで、ガラスの鉛直面を登ることができると考えました。
現在世の中に存在する窓拭きロボットや関連する論文を調べ、必要な機能を洗い出すところから始め、
使用する磁石の種類や接着方法、汚れ検知の方法の研究から、スポンジに適量の水を吸水させるための工夫やモーターやタイヤの細かい改善など、地道に研究を重ね、試行を繰り返しました。
「こんなにちゃんと論文を見たり書物を読んだり、ロジカルな解析をして開発を進める、久しぶりにこんなロボコンのロボットを見ました。素晴らしい!」と、プレゼンを聞いた古田審査委員長も感心。
自律で、窓を両側から挟み、移動する様子を実演。
ロボットに用いたひとつひとつの素材や手法に、トライアンドエラーの末に辿り着いた理由があり、実演中も審査員から「将来性を感じる」「素晴らしい」との声があがっていました!
⑧鹿児島市立桜島中学校 ロボットコンテスト部
「桜風(おうふう)」
活火山であり、季節に関係なく灰が降る、桜島。
火山灰は粒子が細かく・重く、普通の掃除機では詰まりを起こしてしまいます。
降灰の掃除に特化したロボットの開発に挑戦したのは、吹奏楽部に所属する中学3年生の二人でした。
火山灰に対抗できる馬力や防塵性能から、まずはオフロードカーなどからヒントを得て、ロボットの構造を考えていきました。
馬力と制御の両立を求め「戦車」方式にたどりつき、試行錯誤を経て形になったのが今回のロボットです。
実演発表では、実際の降灰を持参してのデモンストレーション。
二人のロボット作りへの情熱が審査員の胸を熱くしました。
自律動作や散水の機能も搭載した、地域の皆に愛されるロボットがこれから彼らによって作られていくことを期待しています!
⑨神戸市立科学技術高等学校 機械工作部ROBO
「CLEARISER」
壁や天井まで掃除する機会はなかなかなく、掃除するにも大規模な建物であればあるほど、その面積は膨大です。
「CLEARISER」チームは、壁や天井を動き回り、夜の間に掃除しておいてくれるロボットの開発に挑戦しました。
壁や天井を登る方法には尺取虫の動きから着想を得て開発をスタート。
胴体に掃除ユニットを搭載したロボットが4本足で壁に張り付き自力で移動をするためには、機体をできるだけ軽くし、機体が「しっかりと張り付く」ことと、「張り付いた足を離す」ことの両方をクリアしなければなりません。
技術的に難しそうなその吸着の方法を見つけ出し、そこに集中して開発した過程をプレゼンテーションしました。
足に使われている平行リンク機構により、胴体と足の部分を平行に保ったまま動くので、吸盤を地面と平行に付けることができます。
自身で設計し加工した部品から組み上げられた機体の足が一本ずつ動き、上へ移動する様子に、会場の視線は釘づけでした。
「ギミックが面白い!工夫が感じられる。やろうとしていることが伝わるよ」と審査員長から激励とアドバイスがありました。
このロボットが壁面を自由自在に動き回っているのを見るのが楽しみです!
⑩市川高等学校 SchoolConcierge「なずな」開発チーム
「SchoolConcierge なずな」
市川学園は、先生が約200人、生徒が約2500人の大規模校です。
200人以上にアンケートを取った結果、9割近くの生徒が先生に会えずに困ったことがあったそうで、また文化祭などで来客がどこに目的の教室があるのかなど、大規模校の悩みを解決する、管理が簡単でどんな質問にも答えられる案内ロボットを作ろうと考えました。
語順があいまいな日本語では、従来のロボットのプログラムでは大量の分岐を作る必要があり、開発に時間がかかってしまうため、人工知能のひとつである「分類アルゴリズム」を採用。AIに数値IDに置き換えた単語を学習させました。
先生の居場所は、ICカードを利用して位置情報を把握。NFC対応していればどんなICカードでも対応できるため、専用のカードや工事も不要です。
人が近づくと、「何かお困りですか?」と「なずな」が話しかけてきます。教室の場所や先生がどこにいるのかを音声で案内し、画面上にはマップも表示されるようになっています。自然言語の質問にも対応しているので、決まった言葉でないと反応しない、ということもありません。
課題解決をAIの開発で図っていくプロセス、また彼らがいかにユーザーの使いやすさにもこだわって開発しているかというところも印象深いロボットでした!
⑪洛星高等学校 ロボット同好会
「LINE MAKER」
LINE MAKERは、グラウンドのライン引きを、自動で行うロボット。
自律でまっすぐなラインと思い通りの図形を描けるロボットを開発しました。
ロータリーエンコーダを搭載したモーターや9軸加速度センサを用い、P.I制御することによりズレを補正、GNSSシステムによって高度な位置測定を行っています。
プリント基板や粉を落とす機構もオリジナルで設計。
完璧な直線や図形を引くための総合的で地道な研究や検証と、制作面でのこだわりが伝わってくるプレゼンでした。
まっすぐなラインを引く様子に続き、正確な円も描く様子を実演。
「操作盤や足回りなど、細かい部分の作りこみに、こだわりや執念を感じる」と、完成度の高さに感心する審査員。
地道な開発と完成度の高さが高く評価され、洛星高校ロボット同好会は昨年の受賞に続く2度目のグランプリに輝きました!